海外在住でWordPressを始めようとすると、日本にいないだけで設定につまずく場面が多くあります。
特に、日本向けに情報発信やアフィリエイトサイトを運営する場合、タイムゾーン・アクセス制限・支払い管理など、日本国内向けの解説では触れられないポイントで戸惑いやすくなります。
海外在住の会社員や駐在帯同の方、家事や育児の合間に作業している方の場合は、設定ミスに気づくまで時間が空き、後から大きな手戻りになるケースも少なくありません。
この記事では、海外在住でも「日本向けWordPressサイト」を安定して運営するための初期設定マニュアルとして、国内向け解説では省略されがちな海外特有の落とし穴を、実務目線で解説します。
なお、これからサーバーやドメインを契約する予定の方は、「海外在住でも契約できるWordPressレンタルサーバー」を先に確認しておくと、後の設定がスムーズになります。
WordPress設定の全体像
海外在住者がWordPressを使う場合、設定は次の流れで確認するのが安全です。
- サーバーとWordPressの初期状態確認
- ドメイン・DNS設定の確認
- SSL(HTTPS)設定
- 管理画面へのアクセス確認
- 後から変更しづらい初期設定
特に、海外在住の場合は原因の切り分けが難しくなるため、順番通りに確認することが重要です。
WordPressの開設から初期設定までの全体像を把握したい方は、 「海外在住者がWordPressでブログを開設する手順まとめ」もあわせてご覧ください。
海外からWordPressにアクセスするための基本設定
問題なく管理画面にアクセスできるケースと、そもそもログインできないケースがあります。
まずは自分がどちらに当てはまるかを確認しましょう。
- 管理画面にアクセスできるケース
- 管理画面にログインできないケース
1.管理画面にアクセスできるケース
このケースは、海外IPからでもWordPressの管理画面に問題なくログインできる状態です。
最近の国内レンタルサーバーでは、特別な制限をかけていないことも多く、海外在住者でも日本にいるときとほぼ同じ感覚で作業できます。
一方で、何も問題が起きていないからといって安心しすぎるのは注意が必要です。
海外IPから誰でも管理画面にアクセスできる状態は、セキュリティ面では必ずしも安全とは言えません。
特に、初期設定のまま運用している場合、不正ログインや総当たり攻撃の対象になりやすくなります。
このケースでは「何もしなくていい」のではなく、「最低限のセキュリティ対策は入れておく」意識が重要です。
例えば、管理画面へのログイン試行回数を制限したり、管理画面URLへの不要なアクセスを制御するだけでも、不正ログインのリスクは大きく下げられます。
2.管理画面にログインできないケース
こちらは、管理画面のURLにアクセスしてもエラーが出たり、IDやパスワードが正しくてもログインできない状態です。
多くの場合、レンタルサーバー側で海外IPからのアクセスが制限されています。
それでは対策を確認していきます。
対策①:サーバーの設定を変更
サーバーの管理画面にアクセスできる場合は、海外IPからのアクセス制限を緩和することで解決することがあります。
WAF設定を一時的に無効化したり、管理画面へのアクセスを許可するIPを追加する方法が一般的です。
例えば、 エックスサーバーの場合、自分のIPアドレスを登録することで接続を許可することができます。
海外在住の場合、IPアドレスは変わることがあるため、登録後も定期的に確認しましょう。
- エックスサーバー「サーバーパネル」にログイン
- 「WordPress」→「WordPressセキュリティ設定」メニュー
- 対象のドメインの「国外IPアクセス制限設定」の「REST API アクセス制限」を編集
- 「ホワイトリスト」に自分のIPアドレスを登録
なお、設定を変更したあとは、必要以上に制限を緩めたままにしないよう注意してください。
対策②:VPNを利用する
サーバー側の設定を変更できない場合や、すぐに作業したい場合は、VPNを使って日本IPからアクセスする方法があります。
日本からのアクセスとして認識されるため、管理画面にログインできるようになるケースが多いです。
無料VPNはセキュリティや安定性に不安があるため、利用する場合は信頼できる有料VPNを選ぶことをおすすめします。
ただし注意点として、接続先によっては逆にログイン制限がかかることがあるので、下記のような工夫をしましょう。
- 接続先の国を固定する
- 毎回接続先を変えない
海外在住でWordPress作業をする際の通信環境や注意点については、 「海外在住者が日本向けサイトを運営する際の注意点まとめ」でも詳しく解説しています。
サイトが正しく表示されないときの確認ポイント
海外在住者が意外とよく遭遇するのが、「WordPressの管理画面にはログインできるのに、サイトが正しく表示されない」ケースです。
この場合、WordPress自体に問題があるというより、ドメインや通信まわりの初期設定がまだ完全に整っていないことがほとんどです。
特に確認したいのが、「DNS設定」と「SSL(HTTPS)設定」の2つです。
DNS設定が反映されていない場合
DNS設定とは、ドメイン名とサーバーを結びつけるための設定で、「このURLにアクセスしたら、どのサーバーにつながるか」を決める役割があります。
ドメインを取得した直後や、サーバーを変更した直後は、この情報が世界中に行き渡るまでに少し時間がかかります。
そのため、日本から見ると正常に表示されているのに、海外からアクセスすると「表示されない」「別の画面になる」といった現象が起きることがあります。
これは設定ミスというより、DNS情報がまだ完全に反映されていない途中段階であるケースがほとんどです。
一般的には数時間〜長い場合で48時間ほどかかることがあり、時間をおいて再度アクセスすると自然に解消されることも少なくありません。
SSL(HTTPS)設定の確認
SSL(HTTPS)とは、サイトと閲覧者の通信を暗号化する仕組みです。
これが有効になっていないと、「http://」でしか表示されなかったり、ブラウザにセキュリティ警告が表示されることがあります。
特に海外からアクセスした場合、日本国内よりも厳しく警告が表示されることがあり、「サイトが壊れている」「表示されない」と感じてしまう原因になります。
WordPressサイトを運営する場合、SSLは必須の設定と考えて問題ありません。
サーバーの管理画面でSSLが「有効」になっているか、また、サイトURLが「https://」で統一されているかを必ず確認しましょう。
絶対に最初にやるべきWordPress初期設定
WordPressをインストールした直後は、最低限の設定しか入っていません。
この状態のまま記事作成を始めると、あとから修正が難しくなったり、海外在住ならではのトラブルにつながることがあります。
まずは、記事を書き始める前に必ず済ませておきたい初期設定から確認しましょう。
一般設定
一般設定では、サイト全体の基本情報を決めます。
- サイトタイトル・キャッチフレーズは、日本向けサイトとして日本語で設定する
- タイムゾーンは「東京」に設定する
タイムゾーンが海外のままだと、投稿日時や予約投稿の時間がズレてしまいます。
日本向けサイトの場合は、日本時間に合わせておくことが重要です。
パーマリンク設定
パーマリンクは、各記事のURLの形式を決める重要な設定です。
例えば、このページなら次の通り。
- サイト名:https://bababax.com/
- パーマリンク:overseas-wordpress-settings
パーマリンクは、検索結果の表示やSEO評価にも影響します。
- パーマリンクは「投稿名」に設定する
- 記事公開後の変更は、SEO評価の低下やリンク切れの原因になる
あとから変更しないで済むよう、最初に確定させておきましょう。
セキュリティ・バックアップ設定
WordPressは世界中からアクセスできるため、初期状態のままだと不正ログインの対象になりやすくなります。
海外IPから管理画面にアクセスする場合は、最低限のセキュリティ対策を入れておくことが重要です。
- ログイン試行回数の制限を有効化する
- 自動バックアップを設定する
「まだ問題が起きていない」段階で対策しておくことが、結果的に一番楽です。
サイト運営を安定させるために後からでも必ず設定したい項目
ここからは、WordPressサイトを「きちんと運営している状態」にするための設定です。
今すぐ収益や表示に直結するわけではありませんが、ASP審査・検索エンジンからの評価・トラブル回避という点で重要になります。
サイトの形が整ってきたタイミングで、順番に対応していきましょう。
運営者情報の設置
運営者情報は、サイトの信頼性を示すための基本項目です。
- 名前は本名でなくてもよく、ハンドルネームでも問題ない
- 海外在住であることは無理に記載する必要はない
- ASP審査や広告主の確認用として重要
特にアフィリエイトサイトでは、運営者情報がないだけで審査に通らないケースもあります。
プライバシーポリシーの設置
アクセス解析や広告を利用する場合、プライバシーポリシーの設置は事実上必須です。
これは単なる形式ではなく、次の理由があります。
- 個人情報・Cookieの利用について利用者に明示するため
Google Analyticsや広告配信では、Cookieやアクセス情報を取得します。
これを「取得しています」「第三者に送信される可能性があります」と明示する必要があります。 - Googleの利用規約を満たすため
Google AnalyticsやGoogle広告では、プライバシーポリシーの設置が利用条件に含まれています。
未設置のまま利用すると、アカウント停止や広告配信停止のリスクがあります。 - ASP・広告主の審査対策として必要
アフィリエイトサイトでは、プライバシーポリシーがないだけで「信頼性が低いサイト」と判断され、審査に通らないケースもあります。
海外在住でも、日本向けサイトであれば、日本語のプライバシーポリシーで問題ありません。
内容はテンプレートをベースにしつつ、実際に利用しているツール(Google Analyticsや広告配信サービスなど)に合わせて調整すれば十分です。
なお、プライバシーポリシーの内容については、このサイトや他のサイトのプライバシーポリシーを参考にして作成しても問題ありません。
お問い合わせフォームの設置
お問い合わせフォームは、外部との正式な連絡窓口になります。
- ASPや広告主からの連絡手段として必要
- 海外IPから送信できるか事前にテストする
- 管理者メールが正しく届くか確認する
最低限入れておきたいプラグイン
WordPressのプラグインは便利ですが、入れすぎると表示速度の低下や不具合の原因になります。
初心者のうちは、まず5〜7個程度を目安に、必要最低限から始めましょう。
基本的には、次の役割をカバーできていれば十分です。
- セキュリティ対策(ログイン制限など)
- バックアップ
- サイトマップ作成
- お問い合わせフォーム
- 表作成・広告管理などの運営補助
- BackWPup(自動バックアップ)
万が一のトラブルに備えて、定期的にデータをバックアップ。 - XML Sitemaps(Googleにサイト構造を伝える)
Googleがページを正しく認識しやすくなり、SEO効果がアップ。 - Contact Form 7(お問い合わせフォーム)
訪問者が気軽に問い合わせできるフォームを簡単に設置できます。 - TablePress(表を簡単に作成)
料金比較や特徴一覧などを表で見やすく表示できます。 - AdRotate Banner Manager(広告管理)
アフィリエイト広告の配置や表示回数を管理できます。
サイトが重く感じたり、不正アクセスが気になり始めた段階で、表示速度の改善やセキュリティ強化するプラグインを検討すれば十分です。
Google Search Consoleの登録
Google Search Console(グーグルサーチコンソール)は、「自分のサイトがGoogle検索でどう見られているか」を確認するためのツールです。
記事を書いたあとや、アクセスが伸び悩んでいるときに特に役立ちます。
主に次のようなことを確認できます。
- どんなキーワード(検索クエリ)で表示されているか
- 検索結果に何回表示され、何回クリックされたか
- どのページが検索に表示されているか
- インデックスエラーやクロールの問題がないか
たとえば、
「狙ったキーワードで表示されていない」
「思わぬキーワードでアクセスが来ている」
といった気づきを得ることができます。
Google Analytics(GA4)の設定
Google Analytics(グーグルアナリティクス / GA4)は、「サイトに来た後のユーザーの行動」を分析するためのツールです。
Google Search Consoleが「検索結果に表示されるまで」を確認するのに対し、Google Analyticsでは「サイトに来てから何が起きているか」を把握できます。
具体的には、次のような分析が可能です。
- どのページがよく読まれているか
- どのページで離脱されているか
- 日本・海外それぞれからのアクセス割合
- スマホとPC、どちらからの閲覧が多いか
海外在住でもGoogle Analyticsの利用制限はありませんが、セキュリティ設定や国別アクセス制限の影響で、データが正しく取得できていないケースもあります。
初期設定後は、実際にアクセスが計測されているか一度確認しておくと安心です。
また、Google Search Consoleと連携することで、「検索キーワード」→「その後のユーザー行動」まで一貫して分析でき、改善ポイントが見えやすくなります。
海外在住者が設定で詰まりやすいポイント
海外在住でWordPressを運営していると、日本にいるときには意識しなくて済んでいた部分で、思わぬつまずきが起きることがあります。
特に多いのが、「設定は終わっているはずなのに、なぜかうまく動かない」というケースです。
外部ツール連携時のエラー
海外在住者が戸惑いやすいのが、Google系ツールとの連携です。
- Google Search Console(グーグルサーチコンソール)の登録が完了しない
- Google Analytics(グーグルアナリティクス/GA4)の計測が始まらない
多くの場合、海外からアクセスしていること自体が原因ではありません。
- http と https が混在している
- www あり/なしで別サイトとして認識されている
- 登録したURLと、実際に表示されているURLが一致していない
「海外だから使えないのでは?」と考える前に、まずはURLの表記が完全に一致しているかを確認しましょう。
管理画面や設定画面に一時的にアクセスできなくなることがある
海外在住だからといって、必ず起きるトラブルではありません。
多くの場合、問題なく管理画面にアクセスできます。
ただし、サーバー側のセキュリティ設定や、ログイン制限などの対策が強く働いている場合には、海外IPがきっかけで一時的に制限がかかることがあります。
これは不具合というより、セキュリティ対策が正常に動作している状態です。
「海外にいるから使えなくなった」と決めつけず、設定やアクセス環境を確認する意識を持っておくと安心です。
海外在住者だから知っておきたい設定のコツ
ここからは、トラブルを未然に防ぐために 海外在住者が特に意識しておきたい設定のポイントを紹介します。
支払い・自動更新設定
サーバー代やドメイン費用の支払いでは、 海外在住者ならではの注意点があります。
- 海外発行クレジットカードが使えないケースがある
→途中で日本のクレジットカードから海外発行カードへ変更できない - サーバーやドメインの有効期限は、日本時間基準で管理されていることが多い
→時差の影響で、気づいた時には期限切れになってしまう可能性
そのため、以下は必ず確認しておきましょう。
- PayPalと連携できるか
- 海外のクレジットカードは対応か
- 更新期限をメール通知やカレンダーで管理しているか
海外在住者向けのレンタルサーバーは、次の別記事を参考にしてください。
管理者メールが届かない場合
WordPressやサーバーからの重要な通知メールが、気づかないうちに届いていないことがあります。
- 自動送信メールが迷惑メールフォルダに振り分けられている
- サーバーの初期設定のままで、メールの到達率が低い
これは海外在住に限った問題ではありませんが、気づくのが遅れるとトラブル対応が後手に回りやすくなります。
管理者メールが確実に届く状態を作るためにも、SMTP設定を行い、テストメールで受信確認をしておくと安心です。
まとめ|海外在住でも日本向けWordPressサイトは安定運営できる
海外在住でWordPressを運営する場合、日本向けサイトを前提としているかどうかで、確認すべき設定ポイントが大きく変わります。
日本向けサイトでは、
- タイムゾーンは日本時間
- Search ConsoleやAnalyticsは日本向けURLで登録
- サーバー・ドメイン・支払い管理も日本基準
といった前提で設定を進める必要があります。
海外IPによるアクセス制限、DNSやSSLの反映タイミング、管理画面のセキュリティ設定、支払い・自動更新まわりは、海外在住者が後から気づきやすい落とし穴です。
本記事で紹介した手順を順番に確認しておけば、
- 「海外だからうまくいかないのでは?」という不安
- あとから設定をやり直す手戻り
を最小限に抑えることができます。
海外在住でも、日本向けサイトとしてWordPressを安定運営することは十分可能です。
最初に「日本向けサイト運営」という前提を意識して、落ち着いて設定を整えていきましょう。
